またもやニュースをパクる手抜きエントリと思いきや、ジワジワと深い話になって来るので要注意なのだ。
インドの数値がアメリカ以下とはこれ如何に
アメリカの失業率って結構ビジネスにおける指標となっていて、アメリカの政府が定期的に発表するこの数字に結構敏感な人は多いと思う。
直近では4.1%と認識しているが、国際労働機関(ILO)の発表によると、
インドのCY18の失業率見込みは3.5%
と言う事らしい。ウソでしょ?
ついでに、CY17の実績は3.4%であり、CY12の3.6%以降は3.4%と3.5%を行ったり来たりで横ばい、との事。
具体的な人数で書くと、
CY17;1,830万人
CY18;1,860万人見込み
CY19;1,890万人見込み
になる様だ。
一方で、世界全体の失業率は、5.5%レベルになっており、数字だけ見れば、インドはかなり優秀って事になる。
これってどうなのよ。と言うのが今日のお話。
インドにおける数字の信憑性はウルトラ低い
そもそも中国と同様、インドにおける様々な数字と言うのは、はっきり言って1ミクロンも信用が出来ない。
中国は政府の意向が働いた悪意のある改竄、ってイメージがあるが、インドに至っては国民の隅々に至るまで平気な顔してウソつく(しかもその自覚なし)ケースが多いと思っている。
例えば、、と言って身近なものを例にとってケーススタディをしようかと思ったが、書けば書く程不快になるのでやめておく。
とにかく、インドにおける『数字』と言う概念がつくもの全てに対して、完全性悪説で疑ってかからないとこっちがやられる、ってのを前提に考えると、この3.5%って数字はまず信用出来ない。
そもそも街を見渡しても、何もせずに座ってるだけのオッサンオバサン多すぎ。あと、物乞いも多すぎ。
どう見てもアメリカなんかより、仕事ないヤツが多い、ってのが肌感覚だ。
なので、この手の座ってるピーポーが失業率の計算の分母から除外されているか、物乞いの連中も職業として扱われてるかどっちかとしか思えない。
高速道路(Highwayと言う名前であって普通に人は平気で歩いてる)の料金所の周りには良く物乞いが出没するんだけど、ある日夕方ちょうど6時前くらいに料金所渋滞に並んでいた時、6時になった瞬間物乞い達が定時退社して行った事がある。
要するに、あいつらはヤクザ的な人たちに雇われている連中であり、まさにスラムドッグミリオネアの世界なのだが、きっと彼ら彼女らも労働者として計算の分子には入れられてるんだろう。
と言うのは冗談だけど、その手の人たちの中には、戸籍登録されていない、つまり分母としてリアルにカウントしてもらえていない人たちがいるのは間違いないと思うので、そう言う意味でもやっぱりちょっと実態とは違うんじゃないの、と感じる。
それ職業?ってのを職業にしてる人もいる
一方で、より本質的な話になって来る可能性があるのが、実はこの3.5%はそこそこ正確な数字である、と言うパターン。
つまり、座ってるヤツらが多くても、結局彼らは彼らで『何らかの職を得ており、分子としてカウントされている可能性がある』と言う事だ。
インドにおいては、カーストの考え方はなんだかんだで未だに人々の中に根強く残っている。
カーストをベースとした差別的な考え方自体は、とうの昔に法律上で禁止されているけど、何千年も人々の中で生きて来たそれはもはや彼らのDNAの一部として、ゲノムレベルにまで染み込んでいる。
都市部の、特にエリート層の中では、昔の様にあからさまな差別をしたりする事はあまりない様だが、それでも会社の中で誰と誰が同じカーストで、とかはしっかり把握している。
なお、エリート層、って言葉を使ったが、我が社にいるインド人は、インド全体のピラミッドからすると総じてエリート層に位置づけられる連中だと思っている。一応、大学出てる連中だからね。
そのくせ、クソバカなヤツも多いし、出来る事なら何発もぶん殴りたいけどそれはまた別の話。
いかん。取り乱した。
そのカーストの考え方から物事を見た時、実は上述の物乞いも『アウトオブカースト』の人々の職業だったりする事もあるそうだ。
アウトオブカースト、とは、身分を表す有名なカースト(バラモンとかが有名なヴァルナってヤツ)に属する事すら許されない、江戸時代のえた非人、ってのとほぼ同義の人たちの事を言い、彼らは俗に『ダリット』と称される。そして予想通りダリットの人々は尋常じゃない迫害の歴史を歩んで来ている。
インドでは、このヴァルナに対して、ジャーティと呼ばれるいわば職業カーストの様なものも実は存在しており、こっちには上述のダリットの人々も所属するスペースがある。
なんだけど、物乞いを一生続けて行かなければならない、と言うあり得ないカーストもあるらしい。しかも世襲制で。マジかよ。
その人たちの中には、路上で生まれて路上で生きて、そして路上で死んで行く、そんな事あるのかよと思ってしまう世界に生きている人も当然いる。
他にも例えば、ウンコの処理だけを代々やってる人、とか、もいて、日本人の感覚からすると衝撃的なのだ。
なので、仮に彼らがきちんと戸籍登録されているのであれば、当然無職ではなく、『仕事がある』つまり『無職ではない』のカテゴリーになり、分子として計算される事もあり得るんだろう。
それでもこの数字は信憑性が低い
今更『失業者』と言う言葉の定義を考えてみるが、総務省によると
仕事がなくて少しも仕事をしなかった者のうち、就業が可能でこれを希望し、かつ仕事を探していた者及び仕事があれば、すぐ就ける状態で過去に行った求職活動の結果を待っている者
になるらしい。
要するに、仕事したいんだけど見つからなくて結果的に無職の人。って事だ。
当然数式は、
失業者÷総労働人口
になる。
となると、誰を失業者として見なして、誰を総労働人口に入れるのか?と言う所が、日本なんかは極めて簡単だけど、インドはその真逆で、解釈次第でどの様にも取れてしまうと思うのだ。
さすがに何らかのルールはあるだろうけど、そんなのをきっちり守る国民性でもないし、どこかに絶対にデータの歪みがあるはず。
なので、失業率3.5%は信じられない、と言うのが本日の結論なのだ。
信じられない、ってのはもっと高いんじゃないの?と言う街中での肌感覚と、一方でこれだけ国がガンガン伸びてて、仕事はいくらでもあるんだからもっと低くても良いんじゃないの?と言う想い双方である。
高度成長期の日本なんか、1%レベルと言う驚異的な数字を叩き出してたしね。
《参考》
過去10年くらいのインドの失業率の推移がこちら。
で、こっちが過去30年くらい。
明らかに手抜きのデータ。1990年より前、計測してないだろ。
こちらから取得。
〜今日の教訓〜
カーストの話はNGかと思いきや、会社内ではそうでもない。
概念論を話す程度ならね。