プルデンシャル生命と言う保険会社をご存知だろうか。
世間では、黒光りツーブロックゴリラが文字通りゴリゴリ電話をかけて来て契約を迫る、マウンティング保険会社の様に映っているケースが多いかもしれない。
そのイメージはあながち間違っていない(少なくともちょっと前までは)とは思うが、当方も自分自身が最近はツーブロックゴリラ化しているのでそこを批判する様なエントリではない事を最初に書き記しておく。
さて、そんな悪名高いプルデンシャルだが、保険の勧誘以外の電話を受けた事があるだろうか。
そう、それは『うちで働きませんか?』と言うお声がけだ。
当方も一度その経験がある。
誰から聞いたのか知らないが、ある日いきなり電話がかかって来て、
タマノミヤさんですか?初めまして!タマノミヤさんが非常に優秀な方だとお聞きしてお電話しております、プルデンシャル生命の〇〇と申します!
こんな感じでまくしたてて来る。
優秀な方とお聞きしまして、って誰のセリフかわかんない上に、そもそも勝手に電話かけて来んなバカ、と言う感じなのだが、とにかくこんな感じで始まる。
で、適当に相槌を打っているとどんどん向こうのペースに巻き込まれて行く。
最終的にはプルデンシャルに出向いて面接的な事をするハメになったのだが、当方に刺さったクリティカルな文言が、
タマノミヤさん、人生で一番輝いていたなと思われるのはいつですか?
と言う問い掛け。
うーん、大学4年の時ですかねー
と適当に言うと、返す刀で、
それはもったいない。タマノミヤさんみたいに優秀な方が今輝かなくてどうするんですか。我々と一緒に輝きませんか?
とバッサリ斬って来る。
当時(2009年)は景気もあんまり良くなく、同じ仕事5年目でやや腐っていた事もあり、俺は大学の頃が一番輝いていたと本気で思っていたので、食虫植物に吸い込まれる虫よろしく、どの駅とは言わないが、フラフラとプルデンシャルの品川区辺りにあるオフィスを訪れたのだ。
プルデンシャルの面接は4回に分けられていた。
何の略だったか忘れたが、CIPと称されるセッションが3回。CIP1~CIP2~CIP3、と言った感じで、厳密にはCIPは面接ではなく、3回のCIPを終えてから面接に移行する、と言う形だった。
未だに当時のメモを保存しているのだが、CIPでされた話自体はかなりタメになった。
自己啓発本に書いてある様な事ばかりだが、ちょっと紹介してみる。
- 『これ以上頑張れない』と言う経験(ラグビーの事)をした人が、何故今頑張らないのか
- 自分のラグビーの試合のビデオは見返して分析するのに、何故自分のプレゼンを撮って改善しようとしないのか
- 持っているポテンシャルを使い切らないで日々を過ごす人が如何に多いか
- 生涯かけて愛せる奥さんと、自分が死ぬ程頑張れる環境を見つける事が大事
- 給料は自律要因(自分でコントロール可能)、他律要因は世の中には景気と政治くらいしかない
- 友達(X)の友達(Y)の友達(Z)に繋がれば日本人全員に会える
- プロは結果を出すのは当然なので、プロセスも大事にしなければならない
- 周りに抜かれたくないと思っている時点で既に負けている
- サラリーマンは他己動機付けが殆ど、それでは人生面白くない
さて、当方は何をしようとしているのでしょうか?自己啓発本でも出版するつもりでしょうか?
と言う問い掛けを自分自身に対してしたくなってしまう様な内容だが、まぁこんな感じの事を延々と話される。
今よりも更に洟垂れ小僧だった当方はこれらの話に非常に強いインプレッションを受け、ちょっとマジでこの会社入っちゃおうかな、と本気で思ったくらいだ。
結局の所、色々と思い直してやめたのだが、そのやめる=断るプロセスがなかなか大変だった。
ここまで話を聞いた当方を先方は簡単には逃がしてくれず、面接の日は5時間くらい監禁された。
そもそもCIP3が終わった時点で断る事は決めていて、それは伝えてはいたんだけど、
CIP3の後に結果はどうあれ面接をして、CIPを通じてこっちが感じた事をFBするまでが決まりだから
みたいに適当に言いくるめられてしまい、面接に臨む事になってしまったのである。なんて弱い僕。
で、面接の日。
CIP3まで話を聞いておいて即断出来ない様な意思の弱い君を、我々としても採用するワケには行かないよ
とか
君は中途半端に頭が良いから色々考えちゃうんだろうけど、中途半端だからやっぱり全然ダメなんだよね
とか何とか言って当方の闘争心に火をつけようとして粘る先方。
じゃあとっとと釈放して欲しいんだけどな~と思いながらも、何を言ってもあの手この手で返して来るしケンカするのも嫌だったので、最終的にはひたすら黙る、と言う戦略をチョイス。
今思えば、ヤツらは当方の人間性とかを評価していたのではなく、当方の学歴に目を付けていたんだと思う。そして、大学と言うよりは、中高。
中高の同級生には、東大卒やら医者やらがゴロゴロいたワケで、沈黙作戦の後に釈放される時も、
10人紹介しろ、中高の友達で良いから
みたいに恫喝され、
そんなにトモダチいないんですぅ~(これはマジ)
と言って、当方がプルデンシャルの人と会っている、と知っていた会社の同期を何人か売っておいた。
当然彼らには、その後ツーブロックゴリラから電話がじゃんじゃん掛かる事になったのだが、それはまた別の話。
ってな塩梅でプルデンシャルの話をひたすらして来た。
何それ?昔話?と思うなかれ。ちゃんとインドの話も登場する。
先日、見知らぬ番号から電話が掛かって来た。
これ自体はインドではホントに良くある事。
2回に1回は出ない、出ても勧誘だったりするケースが多く、
知らない番号からの着信=招かれざる客
この図式でしかない。
とりあえず出てみたら、
ハーイタマさんはうあーゆー!私は〇〇です。
と言っている。これもいつものパターン。
名前はAから始まっていたっぽいが、結局最後まで聞き取れなかった。と言うか、ヤツは当方の名前をデフォルトで知っている。何故だ。
以下、それ以降のやり取り。
僕;いえすぐっどだけど、名前教えて?
A;AngEGAuNGP・・・
僕;はっ?
A;AngEGAuNGP・・・
僕;良くわかんないからいいや、何?
A;タマさんがvery talentedだと聞いて!
あれ?なんかこの流れ見た事あるぞ。。
僕;ありがとう。で?
A;紹介したい仕事があります!
僕;いらない。
A;タマさんが最も適任だと信じてます!
僕;いや、興味ない。ってかお前俺の何を知ってるんだよ。
A;わかりました。では我々のソースに登録しませんか?
名前も社名も聞き取れなかったが、どうもリクナビ的な会社っぽい。
僕;やだ。俺にとってメリットないもん。
A;非常にたくさんのベネフィットがあります!インドで転職が出来るんですよ!
僕;それ俺にとってはデメリット。バイバイ。
A;ちょっと待ってください!一回会えませんか?
僕;やだ。それより前に誰がこの電話番号お前に言ったんだ。教えろ!
A;それは言えないんです!
僕;おっけー。そしたら俺ももう何も言えない。バイバイ。
ぶちっ
5秒後にまた着信があったが、1秒以内に通話拒否。それを2セット。なめんな。
たぶん、Aから始まるこの男もツーブロックゴリラだったんだと思う。
良く考えたら、冒頭に述べた通り、当方も今はツーブロックゴリラなので、後から考えれば、2人のツーブロックゴリラによるセッションだったワケだ。
最近では、海外でマネジメント経験をした日本人が、海外の会社に転職をするケースも良く聞くし、当方の周りにもそう言う人は何人かいて、給料がめっちゃ上がったよん、みたいな人もいる。
なので、ひょっとしたらその手の話だった可能性も否定出来ないが、今の時点では興味がないし、プルデンシャルみたいなアプローチだった時点で抹殺滅殺ジャックナイフなのだ。
と言いつつ、ちょっとどんな条件を提示して来るのか、とか、どんな会社を紹介して来るのか、とかは気になるので、次回そんな電話を受けたら、ジャックナイフする前にもうちょっと話を聞いてみようかな、とも思う。
ちなみに散々けなして来たプルデンシャルだが、保険商品自体は魅力的だと思っていて、普通の生命保険とドル建て年金タイプの保険双方に加入している。
特に後者の方は、為替リスクはあるものの利率が良いのでオヌヌメなのだ。
もちろん、上述の品川区のゴリラ連中から入ったワケではない。
あと、もう一つフォローしておくのであれば、例のゴリラ達はかなり戦闘力が高く、本当に情熱的に仕事に取り組んでいるな、と言うのはマジで思った。
んだけど、仕事=報酬→それ以外いらない みたいなのが見え隠れしたのも事実。
~今日の教訓~
その品川区のゴリラは確か年収9,000万って言ってた。
すご。