サラリーマンなら、大多数の人が、『査定』と言うものを受ける機会があるかと思う。
契約更改のタイミングだったり、ボーナスの結果のタイミングだったりで、『前期の君の結果はこうだったから今期はこうね』みたいな感じが一般的なんじゃなかろうか、と思っている。
当方、日本ではぺーぺーのボッサリーマンだったくせに、インドに来てからはクソ生意気にも管理職になってしまっているので、部下一人ひとりを評価して、査定を与える作業をこなさなくてはならない。
その光景、まさに『甚だ僭越ながら』としか評する事が出来ない。
で、その作業が死ぬ程面倒、じゃなかった厄介で、こんな事を日本でもしなきゃいけないなら管理職なんて嫌っ!とハンカチを噛みしめているのでそのお話でも。
2016年春に、当方の前任者が査定の結果を一人ひとりに伝える場に立会い、2017年は初めて一人で全てをこなし、今年も当然一人でこなしたのだが、トータルでこの場面自体は3回経験して来た。
そのそれぞれで色んな反応をするヤツがいるので、層別して見ていきたい。
素直に納得するヤツ
これは超楽勝だしマジでありがたい。
査定の結果を伝え、言いたい事を言わせた上で今期の給与条件を提示し、その紙にサインさせるのだが、そのプロセスが数分で終わる。
全員がこうだったら良いのに、、と思いつつ、現実はそんなに甘くない。と言うか確率的にはこんなヤツ圧倒的に少ない。
ついでにもっと言えば、素直に納得して意見も言わないヤツは基本的に仕事が出来ない。
テンションあがって握手とかして来るヤツ
良い査定結果だったり、昇格が嬉しくて一人で勝手に盛り上がっちゃうヤツだ。
サンキューサー、とか言いながら握手を求めて来る。そしてその手は結構な確率で湿っている。なんで?
手は湿っているけど、これもスライム級に倒すのが楽なので助かる。
給料が低いと文句を言うヤツ
ここから敵のレベルが一気に上がる。
これは、ポジションが上がったんだからもっと給料が上がるべきだ、と言って仁王立ちして来るケース。
絶対額は俺決められないんだけどなー と思いながら話は一応聞く。
んで、最終的にはまずお前が人事と直接話してどうにもならんくなったらもっかい来い、と言う整理にするしかない。
一人に手貸すとキリないしフェアじゃないからね。
他の誰かと比較し出すヤツ
これは一個前のケースとの類似だ。
どこどこの部署の誰々が給料いくらだったり、査定結果がこうだったのに、なんで自分が、ってなロジックだ。
政治家的に言うと、
他の部門の事に関してはコメントする立場にございませんので差し控えさせて頂きます
なんだけど、しゃーないから話は聞いてやる。
が、結論は同じ。君一人の為に会社のルールを変えるワケにはいかないから、納得いかないならまず人事と相談してみろ、と。
そもそも給料の額とかシェアすんなよ下品だな、とか思っちゃうんだけど、インド人は給料の下1ケタまでお互いシェアし合っちゃうので已む無し。
給料はいいから手当を増やしてくれとか言い出すヤツ
クルマ通勤してるから、そのガソリン代をくれ、と今頃言って来やがる。
引っ越したワケでもないのにお前何言ってんの?って感じだし、そんなの入社した時にネゴっとけバカ、って話なんだけど、全然別物の話すぎてビビる。
これもこいつの為に会社のルールを変えるのは無理なので却下。
泣き出すヤツ
要は自分の実力が正当に評価されていない、と言う憤怒の涙だ。
はっきり言って、心の中では
勘違いしてんじゃねーよ、泣くヒマあったら仕事しろバカタレが
と思っているのだが、まぁそうも言えないので話だけは聞いてやる。
で、なんでそうなったのか、等を実例を挙げて説明してやるしかない。
泣き出した上に怒って来るヤツ
一個前のヤツのグレードアップバージョンだ。今まで挙げて来た中ではラスボス感が強い。
序盤は話を聞いてやってるのだが、だんだんこっちもイライラして来て、菩薩の心が消え去って行くのが自分でもわかる。
あまりに腹立つので、『クビにする時の証拠』と言うメールフォルダに保存されている、そいつの起こした不手際の証拠メールを次々に突き付けて、
お前これに対してどう思ってるのか今すぐ原因と対策を言ってくれる?言えないの?なんで?なんで言えないかまず言ってくれない?
みたいに圧倒するしかない。当方の執念深さとねちっこさを甘く見たヤツには鉄槌が下るのだ。
勿論最終的には、こいつがいなくなった後、どのポジションのヤツを雇って誰にこいつの今の仕事をやらせようかな、とすら思いながら話を進めて行く事になる。
まぁ、こんな感じだ。
この中には、ポンコツな事で有名なデリーの部下・Y君も含まれるので、どれが該当しているのか、想像してみて頂ければと思う。
様々なパターンを思い出しながら書いていたのだが、ふと思ったのが、
泣きも怒りもせず、淡々と自分の評価の妥当性を確認して来るヤツ
が全くいないな、と。
ご評価頂きありがとうございますところで昨年の私はこの様な実績を残しておりましてもう一つ上のご評価を頂けるかと考えておりましたがそこのギャップについては如何考えれば宜しいでしょうかアドバイス頂ければ大変嬉しく是非宜しくお願い致します
こんな感じで紳士的に臨んで来るヤツ。それが良く考えたら今まで一人もいない。なぜ?
ここでまた思い出すのが、インド人のお客さんとのネゴの時の事。
さすがに向こうが客なので、客が泣いたりする所は見た事ないが、結構な確率でシャウトして来たりプリプリ怒ったりしてるケースはある。
何キレてんのこいつ、お腹減ってんのかな、とか思いながら、こちらは極めて冷静にロジックを持って圧倒するか、或いは一緒に乗っかってこっちもキレ散らかすケース両方があるのだが、インド人って議論の際に感情を表に出すヤツが多いのかな?とも感じてしまう。
あっちもキレて、こっちもキレて、最終的には日本語でふざけんなクソが!とか言っている打合せでも、最後にはお互い握手してバイバイをするのが殆ど。
ケンカ別れみたいになった事は一回しかないし、そのケースでは当方が一方的にブチ切れて、今日はもうお前とは話さないあばよ、と言って帰ったパターンだ。
その事からも、そもそもインド人は議論自体が大好きな事で有名だし、議論の中では感情を解き放つ傾向にあって、それが当たり前だから終わった後もシコリが残らないんじゃないだろうか、と言う仮説が成り立つ。
この仮説で行けば、査定の面談で向こうが泣いたり怒ったりしている場合は、こちらも泣いたり怒ったりしても良い、と言う事になる。
従って、来年の査定の時期にはこっちも泣きながら面談に臨む作戦を用意しておいて、結果をここにアップしたいと思う。
なお最後に話が脱線するが、スポーツでも、メンバー入り出来るか出来ないかはある意味査定の結果だと思う。
当方、大学4年の時の明治戦でメンツ落ちした時に、監督に泣いて理由を尋ねた記憶がある。
勘違いしてんじゃねーよ、泣くヒマあったら努力しろバカタレが
と思われていた事は間違いないので、今思い出すとクソ恥ずかしい。
~今日の教訓~
インド人の前では『これはナイショの話なんだけど』は絶対無理。
逆に敢えて拡散目的で『誰にも言うなよ』を使ったりしてる。