当方、インドに来てほぼまる2年が経とうとしている。
生粋の日本人で、血の一滴にも英語のDNAが入っていない当方は、ガチで英語コンプレックスを持っている。
超メガネ学校に通っていたくせに、センター試験は確か120点くらいしか取れなかったし、その後の受験本番でも英語はまるで出来なかったけど、数学が自分のわかる問題だけしか出ず、数打ちゃ当たるのスーパーラッキーパンチで合格した。
400点満点の配点が、
- 英語;200点
- 数学;100点
- 世界史;100点
と言う内訳で、合格最低点が200~205点と言うレンジだったので、数学で100点を取った時点で英語が80点くらい&世界史が40点くらいの4割程度のデキでも充分合格してしまうのだ。まさにラッキーパンチ。
ちなみに文学部も受けたのだが、英語の試験は辞書持ち込みOKとの事で喜び勇んで辞書を引きまくっていたら、半分も終わらないうちに試験が終了し、完膚なきまでに殺戮された。
そんな英語コンプレックスが服を来て歩いている様な人間の当方。
インドに来て2年が経っても英語はなかなかうまくならないし、発音は既に娘の方が圧倒的に上手だし、キレる時は『お前さぁ』から始まってしまうし、余裕で日本語ミックスのジャパングリッシュ使いなのだ。
とは言え、実際の生活においては、会社の中でのやり取りで使われる単語や言い回しなんて、基本的にはほぼ同じ内容の繰り返しだし、会社の人間とのコミュニケーションはかなり楽になって来た。
中には何人か、
お前俺に自分の話を理解して貰おうって気あるの?
と言うレベルでひたすら早口でしゃべり倒すクソ野郎もいるが、概ね問題ない。そしてそう言うヤツが持って来た書類には死んでもサインしてやらない事にしている。
おやおやタマノミヤ君、英語コンプレックスと言いながら随分自信満々ですなぁ。君はアレですか、テスト前にやばいよやばいよ~全然勉強してないよ~って言いながらちゃっかり満点取るタイプですか
と言う批判が聞こえて来そうだが、それは当てはまらない。
そもそも当方クラスの社会不適合者になると、中高一貫校で中途半端にグレた結果、5回ある進級判定会議で4回も判定対象となったレベルだし、試験前とかでも普通に徹夜でドラクエやってたアホなのでそんな芸当はしたくても出来ない。
むしろ、そう言う裏切り満点野郎に制裁を加えて溜飲を下げていた負け犬サイドの人間なのだ。
当方が言いたいのは、あくまで同じ事の繰り返しが多い社内の会話では問題なくなって来た、と言う話。
つまり、そのシバリを外して社外に出た瞬間、ここは誰?私はどこ?と言った塩梅で、本格的に会話に困ってしまうのだ。
そこでタイトルに戻るのだが、会社の面接とかで、
英語はどの程度いけますか?
はい、日常会話レベルです
こんな回答を繰り出して来る輩がいる。
ちょっと待てと。
日常会話が英語で出来る、ってそれほぼネイティブだぞと。
これが本日の主張である。
自分のセリフに対して相手がどんなセリフを吐くか、或いは次にどんな話題が来るか、がある程度予想出来るビジネス会話に比べると、360°どの方角から矢が飛んで来るかわからない上に、全く知らない単語が放り込まれて来るリスクのある日常会話の方が絶対難しいはずだ。
何なら、過去の受験勉強とかで習って来た様な単語だったり言い回しだったりは、ネイティブの相手からはほぼ耳に出来ないとすら思っている。
こんな話をマダム(嫁)に滔々とした所、めんどくさそうに
日常会話ならシリアスな雰囲気にならないし、間違っててもヘラヘラしてられるからじゃないの?
と的確なご意見を頂戴した。
なるほど。
しかし、ここで納得してしまうと、今まで書いて来た事が全て覆ってしまい、オチもクソもなくなってしまうので、何とかこれを論破してギャフンと言わせなければならない。
今までの人生で、ギャフンと言う肉声を聞いた事がないので、ギャフンと言わせる事は物理的には不可能なはずだが、
日常会話の難易度>ビジネス会話の難易度
これを証明する事でギャフンに近い音を出させたい。
その為には何が必要なのか、考えてみよう。
前述のマダムの
『日常会話は間違っても問題ないけど、ビジネスで間違えると超絶シリアス』
これを別のケースに置き換えて考えてみると、それは即ちラグビーにおける練習と試合の関係とも言い換える事が出来る。
日常会話を練習、ビジネス会話を試合に置き換えるのだ。
練習中であればミスをしてもやり直しで済む。
一方、試合中にミスをすれば相手ボールのスクラムに早変わりだし、下手をしたらそのままダイレクトに失点につながるケースもある。
そう言う意味では、確かにこう言い換える事が出来るだろう。
『練習中にミスしても問題ないけど、試合中にミスすると超絶シリアス』
しかし、果たして本当にそうなのだろうか?
良く良く考えたら、試合中のミスに対しては、お互いフォローし合って、次のプレーでこうリカバリーしよう、みたいなポジティブな展開になるのだが、練習中にミスをするとマジでボコられるリスクがある。
そして練習中のミスは、自分の評価が著しく下がり、試合に出られなくなるリスクさえあるのだ。
当方が学生の時、『100ラック』と言う極めて理不尽な練習があった。
『ラック』と言うのはラグビーにおける密集戦の事で、地面にボールがある、つまりボールキャリアーがディフェンスにタックルされて倒れた後のボールの争奪戦で起きる密集の事だ。
ちなみに参考までに、ボールキャリアーもタックラーも立っていてみんなで押し合いへし合いをしている状態の事をモールと言う。
このラックを、自陣ゴール前から敵陣ゴールにたどり着くまでの100mの間、5メートル幅でひたすら続行し、その中でミスが起きたりすると最初からやり直し、と言うクソエグい練習なのだ。
ミス=ボールを前に落としたりする事はもちろん、相手にボールを奪われる、或いは5メートルしかない横のスペースから外に出てしまった場合も含まれる。
95m進んで、このエグい練習も残り5mでやっと終わる!そう頭に浮かんだ瞬間にタッチに押し出されるヤツがリアルに時々発生するので、そう言うヤツは本当に抹殺滅殺したくなる。冗談抜きで本当に腹立つのだ。
なんで腹立つの?チームメイトじゃないの?ラグビーって紳士のスポーツじゃないの?そう思うなかれ。
練習中は、仮に同じチームで100ラックをやっていても、そいつは自分のライバルなので、助け合おうなんて気持ちはサラサラない。
むしろ相手側に自分と同じポジションのヤツがいたら、リアルに膝か足首の靭帯を切ってやろうと思いながら練習している。
つまりそれくらい荒んだ気持ちで練習に臨んでいるので、仮に残り5mでリセットボタンが押される様な事をしたバカ野郎がいたら、そいつがぶん殴られるのは当たり前だし、そこから殴り合いに発展する事もしばしば起きていた。
なお、当方は夏合宿中、Aチーム対Bチームでの100ラックの練習中、リアルに気絶した事がある。
Aチーム対Bチーム。この構図が何を示すか、想像して頂きたい。
AチームがAチームたる所以は、Bチームの連中よりパフォーマンスや評価が上なのだからであって、その優れたAチームがBチームと100ラックをするとどうなるか、簡単にご想像頂けるだろう。
アタックにおいてはAチームがあっさり終了し、お前ら簡単に行かれてんじゃねーよ!とコーチから罵声を浴びせられ、ディフェンスにおいては永遠にBチームが止め続けられ、加速度的に消耗して行くのだ。
Aチームのヤツがその内手を抜いてくれるかと思いきや、ヤツらもヤツらで降格の危機が迫っているので意外と全く手を抜いてくれない。
気絶した日は、10セットどころではなく、20回は軽くアゲインになったと思う。
あまりに終わらないから、ハーフウェーの50m地点でマリオ的なセーブポイントが出来た事は覚えている。
90~95mまで行ってリセットされた事も複数回あった。ミスしたヤツを蹴った事も覚えている。
で、気付いたら倒れていた。密集に突っ込んで行った後だったし、一瞬脳が揺れたのかもしれないけど、その近辺の事は明確に覚えているので、脳震盪ではない。
とにかくエグかったし、試合中に気絶する事は脳震盪を除いてまずありえない事からも、試合より練習の方がそもそもシリアスだと表現する事が出来るだろう。
更に言えば、残り5mでミスをする様なヤツは味方から蹴りを入れられる以前に、コーチや首脳陣の記憶にも深く刻み込まれる為、評価が著しく下がる可能性が高い。
我々は、Aチーム+Bチームをシニア、Cチーム以下をジュニアと呼んでいたが、『トレーニングスコッド』と言う呼称で、パフォーマンスの良いジュニアの数名がシニアの練習に参加する事もあり、下手したらそのスコッドのジュニアの連中とあっさりグレードを入れ替えられる事もあるのだ。
と言う事で、練習中にミスしても大丈夫、と言うのは当てはまらず、練習中こそミスしたらぶっ殺されるリスクが高いと言える。
従って、
『練習中にミスしても問題ないけど、試合中にミスすると超絶シリアス』
ではなく、
『試合中のミスは確かにシリアスだけど、練習中にミスすると気絶するレベルでシリアス』
が正しい表現になる。
影響度としては
練習中のミス>試合中のミス
となり、それはつまり
日常会話>ビジネス会話
と置き換える事が出来るのだ。
如何だろうか。
これに納得して頂ける方は、転職や就職活動において相手に対して英語レベルを聞かれたら、胸を張って
日常会話は少々難しさを感じる事がございますが、ビジネス会話は全く問題ございません
こう答えよう。
面接官の頭の中は???で埋め尽くされ、興味を持たれる事請け合いだ。
ん?逆じゃないですか?
等とふざけた切り返しをする面接官であれば、返す刀で切り刻んでやろう。
いえ、私の中では日常会話と言うものは非常に難易度が高いと思っております。スポーツに置き換えて考えてみますと、世の中においては、ビジネス会話は一つのミスが命取りになると言う意味で試合中と同義に扱われ、日常会話はミスしてもリカバリー可能な練習中と同じ状況と扱われがちです。しかしながら、何故練習をするのか?練習は試合に勝つ為のものではないのか?そして自分自身が試合に出る為に最大限のアピールをする場所ではないのか?そう考えた時、練習にこそ真剣に100%の力で臨むべきであり、そこで起こるミスは非常にシリアスなものだと考えます。練習中にミスをすると、試合に勝つ以前に自分がその試合に出る事が出来なくなる、そう言った危機感を持つべきと言う観点におきましては、練習、つまり日常会話こそが正念場であり、よりシリアスなものと考えている為です。
何と言う完璧な切り返し。最早、この答えを聞いた面接官が泡を吹いて倒れ、横で面接を見守っていたその上司が失禁しながら『採用です』と声を絞り出す姿しか想像出来ない。
逆に面接する立場にある人がこのエントリを読んでくれていて、
英語はどの程度いけますか?
はい、日常会話レベルです
と返して来るアホタン受験者がいたら、しばらく以下の様なやり取りを続けよう。
ほほぉ、日常会話レベルは問題ないと言う事ですね?日常会話はビジネス会話よりも難易度が低いとお考えですか?それは何故でしょうか?
はい、日常会話は和気藹々とした雰囲気で進み、多少ミスがあっても訂正したりリカバリーする事が可能ですが、ビジネスにおいて同じ事をすると非常に深刻な影響が出る可能性があると考えているからです。
ここまで来たらしめたもの。次はこう返すべきだ。
なるほど、良く理解出来ました。今貴方は、日常会話でミスしても問題なくリカバリー可能で、ビジネス会話はその逆だとおっしゃいましたね。それはスポーツにおける練習と試合の関係と似ていると言えますね。何故ならば、練習中にミスをしても失点にはつながらないけど、試合中のミスは失点につながる可能性があるからです。しかし良く考えて頂きたい。練習中にミスをする事でどの様な影響が出るか。貴方は何の為に練習をするのですか?試合に勝つ為ですよね?確かに練習中にミスをしても失点はしない。しかし練習中にミスをするプレーヤーは試合でもミスをする。練習で出来ない事は試合でも出来るはずがないのです。そしてもっと言えば練習中にミスをする事で、貴方自身の評価が下がり、試合に出る機会を逸する事にもつながる。そう言う意味で考えると、貴方は練習の事を軽く考えすぎている。練習に100%の力で臨めない様な人間の試合中のパフォーマンス等、推して知るべしでしょう。その点は如何お考えでしょうか。
最後まで聞かずしてこの受験者が土下座しながら悔い改めているのは間違いないだろう。そして、こんな面倒くさい圧迫面接をして来る面接官がいる様な会社には行きたくないと感じる事は間違いない。
と言う事で、日常会話は問題ありません、なんて言うのはやめましょう。
~今日の教訓~
仕事における当方の座右の銘は、 いくら詰められても気絶する事はない である
ネチネチネチネチ詰められても気絶はしないし、あの時の100ラックで感じた『ヤバい、これマジで死ぬまで終わらないかも』みたいな感覚ってあんまないもんね
画像は日本ラグビー協会からお借りしました♡
コメント
こんばんは!最近、このブログの存在を知り、楽しく拝見させて頂いています。
私は「けしからん」デリーに駐在している40代サラリーマンです。2年過ぎまして、この4月から3年目に突入です。本当に毎日毎日、クソのような出来事が多く、いくつもの「あきらめ」を感じております。
デリーにお越しの際は、ぜひ情報交換をさせて頂きたいです!
けしからんですね!いつもありがとうございます。
ちなみに当方も今月で3年目突入でございます。
ご赴任期間は何年予定でしょうか?
当方は文句ばかり言いつつ、俄然延長希望を出しております!