以前、グルガオンのリージェンシーには日本人シェフがいた。
ガッツリ実名を挙げるとキクタフミオ氏、と言う。
なんか、人の名前をカタカナオンリーで書くと、海外で事件に巻き込まれた人みたいに見えてしまって申し訳ないのだが、菊田なのか喜久田なのか、文雄なのか二三男なのか良くわからないので已む無し。既に、漢字がわからない程度の人間関係である事が露呈している点も已む無し。
当方がアホみたいに宿泊日数を荒稼ぎしていた事から、お互いの存在自体はお互いに認識していたが、何となく会釈をする程度で会話に至る事はなかった。
が、昨年の8月21日。先方から話しかけて来た。
菊;こんにちは。
僕;あ、どうもどうも。
こんな所から会話は始まる。
菊;今日はバッフェですか?
僕;いや、アラカルトにしようかなと。
菊;そうですか、何か丼ものご用意しましょうか?
僕;マジすか。何かオススメあります?
菊;いいイクラが入ってるんで、親子丼なんてどうでしょう?
僕;言葉もありません。
菊;裏メニューなので、カツ丼と言う事で処理しておきますね。
と言う事で出て来たのがこちらの親子丼。
インドで食べている事と当方がバカ舌である事を差し引いても、マジで美味かった。
僕;ご馳走様でした。いやーホント美味しかったです。
菊;それは良かったです。
僕;次回もまたお願いしますね。
菊;実は私明日帰るんです。
僕;はっ!?
菊;なので今日が最終日なんですね。
僕;はっ!?
おい菊田。喜久田かもしれないけどとにかくどう言う事だ。説明しろ。
僕;え、じゃあもうこれ食べられないんですか?後任の方は?
菊;ホテルの経営の意向で、日本人シェフは置かない事になったので、後任はいないんですよ。
僕;この親子丼、最初で最後って事ですか?
菊;インド人の弟子に作り方教えておいたので大丈夫ですよ。いつでも頼んでください。
ってな事で、キクタシェフと最後に記念撮影をしてお別れ。こんな感じの、怒ったら怖そうなナイスミドルである。
その後、しばらくは、ガーリックライス(これも結構美味い)を頼んだり、『YAKITORI・BUTA』と言うどっちやねん的な謎の料理↓を頼んだりしていた。
そして先日、久しぶりに親子丼を頼んでみよう、と思い立ったのだが、裏メニューでもある『親子丼』などと言うワードを投げかけられたインド人が、その場で完全フリーズして意味不明な行動を取る事は目に見えていたので、順序を追って説明する事にした。
僕;昔さ、ここに日本人シェフがいたよね。
イ;日本人シェフ?
僕;この前までいただろ、ミスターキクタだよ。
イ;誰ですか?私は最近ジョインしたので知りません。
僕;最近っていつだよ。
イ;1年前です。
僕;1年前なら100%いるわ。なんで覚えてねーんだよ!
と言う事で使い物にならないので、厨房にいるシェフに直接交渉。
僕;ミスターキクタわかる?君と一緒に働いてたジャパニーズシェフ。
シ;フミオですか?
僕;そうだ、それ。彼から親子丼の作り方聞いてる?
シ;オヤコドン?
明らかに雲行きが怪しいぞ。おい菊田。(2回目)
僕;ほら、これだよ、この写真。
シ;なんですかこれ、サーモンと、、、、これはジャパニーズ海苔ですか?
僕;サーモンとサーモンエッグのペアレント&チャイルドフードだよ!
我ながら妙な説明過ぎる。文字にすると知性の低さが見え隠れどころか丸見えだ。
シ;グーグルにその名前を打ち込んで貰って良いですか?
僕;オーケー、OYAKODON SALMONね。
シ;わかりました!任せてください!20分程時間貰いますね!
もう、この時点で、クックパッドを見ながら料理を作る的な流れにしかなっておらず、非常に怖い。半分諦めていたと表現する方が正しい。
そして待つ事20分。こんな料理が運ばれて来た。
ツッコミ所が多すぎるので、項目ごとに整理してみよう。
イクラじゃなくてトビコ
これイクラじゃないじゃん、ととりあえずツッコミを入れてみた所、
テイストは一緒だから大丈夫です、サー!
と言う、料理人として絶対に言ってはいけない回答。
当然テイストも食感も違うのだが、今更どうしようもないので、次回はイクラを用意しておけ、と言って終了。
酢飯じゃなくて素メシ
嫌な予感はしていたのだが、具の下に入っているのは普通のメシ。
こちらについても、次回は必ずsame as sushi riceにしろ、と言って終了。
すみません、作り直して来ます!と返して来たけど、恐らくヤツは米をそのまま廃棄するんだろう、と考えると勿体なさすぎるので、その申し出は却下しておいた。
めんつゆがサーブされた上にそもそもデフォルトでめんつゆがかかっている
これが一番クリティカルだった。上の写真、米がうっすらと液体に浸かっている感が見て取れるかと思うが、このリキッドの正体はまさかのめんつゆ。
小皿に入ってるのがめんつゆだった時点でヤバいな、とは思ったのだが、まさかメシにぶっかけてるとは。お前クックパッド見たんと違うんかい。
てな感じで散々だった親子丼byインド人シェフ。
2つを並べてみると、同じ食べ物とは思えない。キャベツみたいなので嵩増ししやがって。
めんつゆがかかってしまっているのはどうしようもないので、ワサビを醤油で溶いてサーモンはそこにつけて刺身として食べ、残りはまとめて掻き込んでおいた。
なお、この特製裏メニュー『白米の上にサーモンとトビコを乗っけてめんつゆをぶっかけた丼状の食べ物』の値段は950INR + Tax。日本円にして約2,000円くらいだろうか。今回もカツ丼として処理されていた。
以前、グルガオンのコートヤードマリオットのクソ不味いペペロンチーノのエントリでも述べた様に、一回の失敗は許してやるのがポリシーなので、また次回同じヤツに挑戦権を与えたいと思う。
今回、3つも指摘をしてしまったので、恐らく1つ、下手したら2つはそのまま改善されずに残る気がする。
ご飯にデフォルトでめんつゆをかけるのだけはやめて欲しいのだが、直るだろうか。
キクタ氏の弟子のインド人シェフの今後に乞うご期待なのだ。
~今日の教訓~
クックパッド見ながらなら俺でもインド料理そこそこ作れるはず。
調べたくせにここまで別物の料理を作るって相当ヤバいと思うんだけど、ひょっとしたらインド版クックパッドに載ってる親子丼のレシピがリアルに間違ってる可能性は否定できない。