インドでは雨を降らしても空気がキレイにならないらしい件

デリーの大気汚染が壊滅的なレベルである事は、報道でも当ブログでも良く触れられている。

もはや、空気が汚い様子そのものを『デリー』と称しても良いレベルだと思う。今日マジでデリってね?的な。

そんな不名誉な評価をされているデリー、行政も何もしてないワケではなく、頑張っているらしいので、今日はそのお話。

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アイデアとオチがインドっぽい

インドには、『中央汚染管理局』なる機関があるらしく、略称はCPCB、Central Pollution Controle Board?だと思うが、そこが大気汚染解消の為に、『放水作戦』なる面白い作戦を敢行したらしい。

が、結果がマジでインドっぽいので、そのニュースの紹介から。

放水作戦では、トラックに積み込んだ大砲の様な装置を使う

大砲は、100リットル/分の水を上空に放出出来る能力を持つ

目的は水滴とPM2.5等の有害物質を固定化、そのまま地面に叩き落とす事

実験をした所、水滴の滞空時間が予想より短く、且つ空間が広過ぎて、水滴と有害物質の固着機会が少なかった

結果、PM10とPM2.5の数値は、実験前後でほぼ変わらなかった

導入した機械メーカーは、PM10とPM2.5を制御出来る!とPRしていた

CPCBのFBは『鉱山とかでは効果が期待出来るかもしれないが、広範囲での適用は無理』との事

デリーで実用化するには、機械を5万台以上配備する必要があるとの見方を示した

このニュースを見てからの第一印象は、そりゃそうだろ、と言うもの。だいたいの人がそうなのではないか、と思う。

が、もうちょっと深掘りして考えると、違う見方も出来ると思う。

インドでのやり取りを想像してみる

メーカー担当者と、政府の人間のやり取りはこんな感じではなかろうか。

《パターン①;マジでバカなケース》

担;この作戦でPM2.5を制御出来ます!

政;やってみよう!俺も出世が見えた!

〜実験後〜

政;全然ダメじゃね?

担;そうすね、5万台は必要ですわ。

政;やっぱり難しいか。別の方法を考えよう。

《パターン②;出来レースなケース》

担;この作戦でPM2.5を制御出来ます!

政;実験の予算と承認を取るのが難しいわ。

担;わかりました、発注してくれれば10%キックバックします!

政;わかった、最善を尽くしてみよう。

〜実験後〜

担;やっぱり無理でしたね。

政;そうだな、5万台は必要、って事にしておいて大量発注するわ。

担;その時はまた10%をキックバックしますので・・・

政;ぐふふふ

何となく②の方が近い様な気もするが、とりあえず、①だった、と言う事にして話を進める。

日本だったらどうなるか?

同じ様な話が日本で起きたら、どの様に進むのかを考えてみる。

とは言え、政府関係者と仕事した事がないので、一般企業で起こりそうなやり取りを想定し、登場人物を上司に変えてみる。

担;この作戦でPM2.5を制御出来ます!

上;制御出来る根拠は?

担;こことここの現場でこの様な実績があります!

上;絶対成功するの?

担;絶対とは言えませんが、8割方成功すると思ってます!

上;失敗したらどうしてくれるんだバカモノ!却下だ!

〜半年後〜

上;全然状況良くならないぞ!何か良い提案ないのか!

担;(´・_・`)

まぁだいたいこんな感じだろう。

今回のケースでは失敗に終わってるけど、もうちょっと確度の高い提案であっても却下、と言うのが良くあるケースだと思う。

インドと日本の意思決定のプロセスの違い

インドで仕事していてホントに良く思うけど、インド企業の意思決定はマジで速い。

かなりいい加減な内容であっても、とりあえずGoかけて走り出して、途中で力技で修正をかけながらドライブをかけて行くイメージ。

当然、失敗するケースもあるし、感覚的にはそっちの方が多いが、とにかくまずはやってみる、のスタンスであるのは間違いない。

一方、多くの日本企業が石橋を叩いて叩いて、最終的にはぶっ壊している。

確実に勝てる勝負しかしない、全ての企業がそうとは言わないが、そんな傾向が強いのは間違いないだろう。

今回のケースも、超ポジティブに捉えれば、まずはやってみよう、の典型だと思う。

ちょっと極端過ぎて、もうちょっと意思決定のプロセス変えた方が良いんじゃないの、とは感じてしまうが。

日本における軌道修正の難しさ

じゃあなんで日本では同じ様な、とりあえずやってみて後で軌道修正、が出来ないのか?についてだが、色々な要因はあれど、その内の一つとして昨今の足の引っ張り合い文化があるのではないか、と感じている。

早く軌道修正すれば少しの損失で済んだかもしれないのに、それを言うと足を引っ張られたり減点されるから言えなくなって、最終的に取り返しつかなくなって・・・のケースだ。

例えば、議員さんが何かしらの間違いがあったとして、それを認めて謝罪した場合。

次に起こるのは周りからの『議員辞職しないんですか』のシュプレヒコールだろう。確実に。

それが企業であっても、多くの場合、と言うか大企業であればあるほど、減点はされても評価はされない、と言う結果になるんだと思う。

何が言いたかったかと言うと

放水作戦からかなり話がそれてしまったが、今はこんなプランが通っちゃう程プランの立案精度もそれの承認プロセスもレベルが低いんだろうけど、日本の10倍以上の人数がいるインドが、今後何年かかけてそこの精度を磨いた状態でこの意思決定スピードで物事を回し始めたら、日本なんてのぞみvsこだま並みに追い抜かれちゃうよ、って事と、5万台大砲があれば空気キレイになるんだったらとっととやれやバカ!って事と、議員の不倫とかもいちいち報道しなくて良いよバカ!って事。

ちなみに、インドでも、政府・民間を問わず足の引っ張り合いはかなりの頻度で起きていて、日本だけがそんな事をしている、と言っているワケではないので、そこはご諒承願いたい。

〜今日の教訓〜

部下が持って来る粗っぽい提案はことごとく粉砕している。

粗っぽいのレベルが違うの。ホントに。

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