デモが起きれば映画だって公開延期になっちゃう件

新年早々、インドっぽいニュースが流れた。と言っても起こったのは昨年末の事で、情報のアンテナが低いだけなんだけど。

ザックリ言うと、映画公開に反対するデモが起きて、その映画が公開延期になっちゃったよん、ってお話。

なお、これから書く内容は、このエントリを書く為に、超付け焼き刃で色々調べた極めて深い知識を基に構成されているので、全て真実と思って頂いて構わないが、最終判断は読者諸賢にお任せしたいのである。

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映画の中身は昔話

その映画は、タイトルが『Padmavati』と言って、別名ピンクシティ(エロいと言う意味ではない)の大都市・ジャイプルを抱え、インド最大面積を誇るラジャスタン州で昔栄えていた『メーワール王国』と言うヒンズー王国のお話。

興ったのは8世紀だけど、一瞬の滅亡を経て、実はムガル帝国全盛期の時も気合いで独立を維持し、20世紀までしぶとく残り続けていた、と言う極めて生命力の高い王国でもある様だ。

そのメーワール王国に、14世紀初頭に現れた絶世の美女『Padmini(パドミニ)』。こんな人。(wikiから拝借)

このパドミニを手に入れたいが為に、当時インドで圧倒的な勢力を誇っていたイスラム国家・ハルジー朝の王、アラー・ウッディーン・ハルジーがメーワール王国を侵略、首都のチットールガルは陥落し、パドミニを手に入れたかと思いきや、パドミニは火中に身を投じ、敵の手に落ちる事はなかった、と言う事らしい。

そのストーリーが、叙事詩『padmavati』に書かれており、それを映画化したのがこのお話。


このストーリーを聞くと、へー歴史の勉強になるな、から始まって、一人の女の為に戦争起こすワケねーだろ、とか、くらいの感想しかない。

ところが、当事者のインド人にとっては、当方レベルの幼稚な感想ではなく、もっとクリティカルな気持ちを抱くらしい。

以下、報道等より引用。

一気に報道の内容+αを書きなぐる

とあるカースト集団が『歴史の破壊だ』と言って大規模デモを起こした

このカーストは、『ラージプート』と呼ばれる比較的高位にあるカーストの集団

パドミニを『ヒンズー女性の名誉の象徴』として崇めている

ラージプートは、クシャトリヤ(バラモンの次の王様や戦士集団)の子孫=と書くとかなり偉そう

怒った理由は、映画の中に『ハルジー(征服者)とパドミニのロマンスを描いた場面がある』と言う噂が流れた

メーワール国王の子孫の何とかさんも上映に反対している

ラジャスタンにある城跡で、上映反対のメッセージと共に身元不明の男性遺体が見つかった

製作側は『そもそもロマンスの場面がない』としている

ラージプートの政治団体カルニ・セナのヘマンドラ・シン氏(37)は『名誉を守って自殺した王妃は日本ならサムライ。われわれの女神を傷つけるとは許せない』と憤る

同州ウダイプルの映画館を訪れた主婦は『上映されてから批判すればいいのに』と指摘

大学生シャルマさん(18)は『映画よりもインド女性が日々受けるセクハラを改善すべきだ』と冷ややかに話した

なんでそうなるの?

長々と報道の内容を書いたが、どう処理すれば良いか迷う。

まず、噂話ベースで死人が出る規模のデモが起きている事。

これはKOEIの三国志の世界であれば、知力が60くらいしかない武将であっても、流言飛語が成功するレベルだ。

諸葛亮や司馬懿がこのコマンドを選択すれば、民忠が下がるどころか、瞬殺で反乱が起きるだろう。

それと、殺人事件っぽい事にまでなってしまっている事。

抗議の自殺なのか他殺なのかわかんないけど、人が死ぬ様な話かね?

有名な話だが、ヒンズー教には輪廻転生の考え方がある。

現世で良い行いをすれば来世でも人間に生まれ変われるけど、悪い行いをすると動物や虫に生まれ変わってしまうよ、と言う考え方だ。

だから『善く生きる事(悪い事をしない)』を他の事、例えば『富の最大化』よりも人生の優先順位の上位に上げる人が多い、と言われている。

要するに来世を信じている人にとっては、お金は次の人生に持っていけないから、次の人生にプラスの影響を及ぼす何かを積もう、と考えているらしい。

その考え方を表面的に見ると、いくら映画に反対だからと言って人殺しちゃったらその時点で虫だろ、と思ってしまう。

ただ、当のラージプートの連中からすると、

こんな状態を放置していると来世がろくなものにならない!

と言う切迫感を持つのかもしれない。

何れにしろ、この手の神話だったり伝説だったりが人生の一部となっているインドでは、それが否定される様な事態になろうモンなら、噂だろうが何だろうがとにかく暴れ回ってそれを回避しようとする、と言う事だ。

真面目に今日の教訓を書くなら、

インドではインドのカルチャーを尊重して、決して侮辱しない様にしよう、死ぬよ

ってトコだろうか。

〜今日の教訓〜

映画にラブロマンスの要素が全くなかった時、こいつらがどう言うロジックで自分を正当化するのかが気になる。

マジで映画見てみたい。

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